西村菜那子が振り返る出雲駅伝 優勝の國學院大學、一番の勝因は「平林選手を生かす」
みなさんこんにちは！
10月14日、第36回出雲全日本大学選抜駅伝競走（出雲駅伝）が学生3大駅伝の開幕戦として開催されました。午後1時の時点で、島根県出雲市の気温は28.4度。歴代の大会でも2番目に暑い中でレースがスタートしました。
5区終了時点では駒澤大学が有利だと思いました
見事に優勝を成し遂げたのは、國學院大學でした。平林清澄選手（4年、美方）がアンカー対決を制し、5年ぶり2度目となる王者に輝きました。大会3連覇を目指した駒澤大学が2位、年始の第100回箱根駅伝覇者の青山学院大学が3位という結果に。区間エントリーを見たときは、青山学院大学の完璧な布陣と隙の無さに、優勝は青山学院大学だろうと思った方も多いはずです。
もちろん青山学院大学が強かったのは変わりませんが、それ以上に國學院大學と駒澤大学の選手が本来の力を発揮したレースだったように感じました。出雲駅伝の注目ポイントはたくさんありますが、中でも多くの方々が注目したのは、最終6区のアンカー対決だったのではないでしょうか。
5区終了時点での順位は、トップが國學院大學。そのわずか4秒差の2位で駒澤大学、さらに20秒差で3位に青山学院大学という激戦状態。3チームのどこが優勝してもおかしくないという展開でした。
ちなみに私は5区を終えた時点で、アンカーに篠原倖太朗選手（4年、富里）が控えている駒澤大学が優勝するのではと思っていました。皆さんはこのとき、どこが優勝すると予想されましたか？ このアンカー対決を制したのが、國學院大學の平林選手でした。
チームに捧げてきたものが結実
平林選手は1年生のときから、出雲駅伝でアンカーを務めています。続く全日本大学駅伝でもエース区間の7区、箱根駅伝は「花の2区」を過去に2度走り、幾度となく主要区間に抜擢（ばってき）されてきました。
主要区間を任される選手には様々なパターンがありますが、基本的には経験を積んでいる上級生が務めることが多いため、平林選手の過去の駅伝では、同級生と勝負するよりも、上級生を相手に戦っているという印象がありました。そんな平林選手が最上級生となった今、熾烈（しれつ）な優勝争いをしたのは同学年のトップランナーたちでした。
篠原選手は9月末、屋外で日本選手が走った5000mの学生記録を塗り替えました。青山学院大学のアンカーは、箱根駅伝3区で日本人初の1時間切りを果たした太田蒼生選手（4年、大牟田）。まさに大学駅伝界のエースが集ったアンカー対決でした。
新鮮にも映る同級生との争いで、なおかつ区間賞を取れたことは、平林選手がこれまでチームに捧げてきたものが実った瞬間のように見えました。
すぐに待っている全日本、優勝するのは……？
もちろん、優勝に導いたのは平林選手だけではありません。
1区の青木瑠郁選手（3年、健大高崎）が区間3位の力走でチームに弾みをつけ、2区の山本歩夢選手（4年、自由ケ丘）は本調子ではない中、4年生の意地を見せて区間5位で粘りました。3区を務めた辻原輝選手（2年、藤沢翔陵）は青山学院大学の黒田朝日選手（3年、玉野光南）や駒澤大学の山川拓馬選手（3年、上伊那農業）といった他校のエースにひるむことなく、トップと20秒差の好位置で4区へ襷（たすき）リレー。4区の野中恒亨選手（2年、浜松工業）、5区の上原琉翔選手（3年、北山）が連続で区間賞を獲得しました。
こうして改めて1区から6区まで振り返ってみると、國學院大學の一番の勝因は、「エースの平林選手に頼る駅伝ではなく、平林選手を生かす駅伝」を体現することができたからだと感じました。
今後は11月3日に全日本大学駅伝が開催されます。國學院大學、駒澤大学、青山学院大学が3強と言われている中、優勝するのはどのチームでしょうか。これからの駅伝シーズンも楽しみにしています！
私個人としては、このたび文化放送さんで私がパーソナリティーを務める新番組『#ラジオ版西村駅伝』がスタートしました。『かわのをとや スポーツの巣』（毎週月曜午後5時45分～6時半）内の新コーナーとして担当をしています。
こちらでは、大学の取材も積極的に行い、私なりの視点で駅伝の面白さを発信しています。駅伝シーズンのおともとして、ぜひみなさんお聴きください！
は全力で学生スポーツを応援します。
