全日本大学駅伝で西村菜那子が目を引いた2選手は 「主将兼エースの意地」が共通点
みなさんこんにちは!
11月3日に第56回全日本大学駅伝が開催され、今年も各地区の選考会を突破した全国の精鋭ランナーたちが伊勢路を駆け抜けました。優勝したのは國學院大學で、10月の出雲駅伝に続く二冠を達成。2位は駒澤大学、3位に青山学院大学、4位創価大学、5位早稲田大学、6位城西大学と、上位の顔ぶれは出雲駅伝と変わらない結果となりました(出雲駅伝では5位にアイビーリーグ選抜)。
中盤区間までは青山学院大学が優勢で、このまま優勝のフィニッシュテープを切るのかと思われた中、國學院大學が意地の逆転。そして前半に出遅れがあった駒澤大学は、3位スタートのアンカー山川拓馬選手(3年、上伊那農業)が2位青山学院大学とついていた約2分半の差をひっくり返しました。
最後の最後まで展開が読めなかった今回の全日本大学駅伝も、非常に見応えがある結果となりました。今回は、特に私が目を引いたランナーについてお話をします。ぜひ、最後までご覧ください!
2区で粘り強くついていった帝京大学・山中博生選手
1人目は2区を走った帝京大学の山中博生選手(4年、草津東)です。
帝京大学のエースであり、出雲駅伝でも1区4位の成績を収めている有力ランナー。
5月の関東インカレ2部10000mでも青山学院大学の黒田朝日選手(3年、玉野光南)に続き、日本人2位の28分04秒54でゴールするなど、トラックでも目覚ましい活躍を見せてこられました。
山中選手の特徴であるレースでの積極性が、今回の全日本大学駅伝でも存分に発揮されました。今回は1区がスローペースだったため、大きなタイム差が出ず、2区は序盤から大きな先頭集団が形成されました。その集団を引っ張ったのが、創価大学のエース・吉田響選手(4年、東海大静岡翔洋)。ハイペースでのレース展開に、先頭集団の人数が徐々に絞られる中、山中選手は粘り強くついていきました。
ケニアからの留学生、東京国際大学のアモス・ベット選手(2年、セントピーターズイテンデイ)や日本選手権5000m4位で出雲駅伝1区区間賞の青山学院大学・鶴川正也選手(4年、九州学院)とともに、先頭集団を形成した山中選手のスピードとスタミナのある走りは、帝京大学のキャプテン兼エースとしての意地を感じました。
第100回箱根駅伝で9位に入り、全日本大学駅伝でも4大会ぶりにシード権を獲得するなど、着実に強くなっている帝京大学。山中選手を筆頭に、第101回箱根駅伝での活躍にも注目したいと思います。
単独走で区間賞を獲得した駒澤大学・篠原倖太朗選手
続いては、7区で区間賞を獲得した駒澤大学の篠原倖太朗選手(4年、富里)です。
今回、駒澤大学は前半区間で出遅れがあり、一時は関東勢で最下位だった場面もありました。しかし、後半区間で順位を徐々に上げていき、篠原選手は5位で襷(たすき)を受け取りました。
トップを行く青山学院大学の太田蒼生選手(4年、大牟田)とは2分47秒差。太田選手と、2位を行く國學院大學の平林清澄選手(4年、美方)が熾烈(しれつ)な先頭争いを繰り広げる中、篠原選手はまず城西大学の久保出雄太選手(4年、小松大谷)をかわし、4位に浮上。その後、創価大学の吉田凌選手(4年、学法石川)もとらえ、順位を二つ押し上げてアンカーの山川選手につなぎました。
今回のレースで篠原選手の強さが光っていたポイントは、単独走で区間賞を獲得したことだと思います。集団走が得意なランナーと単独走が得意なランナーがいますが、篠原選手はどちらかというと集団走に自信を持っている印象があります。単独走だと前を走るランナーが見えず、後方のランナーも見えない状況になると、ペースの維持が難しく、記録が出にくいと言われています。
そんな中、今回は17.6kmのほとんどを単独走で走り、歴代3位の区間記録をマークしました。篠原選手の猛追は、キャプテンとして、そしてエースとして「このままでは終わらせない」という強い意志を感じました。
箱根駅伝でも、また3強エース対決が見られたら……
出雲駅伝のアンカー区間で繰り広げられた太田選手、平林選手、篠原選手の「3強」エース対決が、全日本大学駅伝の7区で再び繰り広げられました。出雲を制したのは平林選手。ところが全日本は、区間タイムの上では篠原選手が制した形となりました。
箱根駅伝でも、また3強エース対決が見られたら……なんて想像が膨らみます。3強の強さがより際立った今回の全日本大学駅伝。箱根駅伝ではそこを切り崩す大学が現れるのか、またどんなシード権争いが見られるのか。1カ月半後を楽しみに待ちたいと思います。