サッカー

連載:サッカー応援団長・岩政大樹コラム

天皇杯に見た大学生とプロの違い

明治大学はJ1王者の川崎フロンターレに挑み、0-1で惜敗した(撮影・佐伯航平)

7月に入ってイタリア・ナポリでユニバーシアードがあり、日本は2連覇を果たしました。そこで16年前の私の思い出話をしようと思ったのですが、やめました。海のこちら側の、そして「いま」の話をしましょう。

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守備の原則「相手とゴールを結んだ線上に立つ」

7月3日と10日に天皇杯の2回戦がありました。大学チームを見てみると、明治大学が川崎フロンターレと、法政大学が東京ヴェルディと、流通経済大学が浦和レッズと、立命館大学が横浜F・マリノスと、仙台大学が横浜FCと、鹿屋体育大学が名古屋グランパスと、北陸大学が鹿島アントラーズと、桐蔭横浜大学がFC東京と戦い、法政大学と鹿屋体育大学が8月14日の3回戦に進みました。負けたチームも善戦したゲームばかりで、改めて大学サッカーのレベルの高さを示しました。

ただ、その中で気になったことがありました。外(横)からのボールに対する守備に問題を抱えているチームが散見されたことです。私はすべての試合を見ることができたわけではないのですが、ハイライトやゴールシーンを洗いざらい見ていて、外からのボールでいとも簡単にシュートを許してしまっているシーンが多かったように思いました。

プロのボールの質や高さ、強さの指摘をしたいわけではありません。大学側が、守備の原則を押さえられていないように感じたのです。守備における立ち位置の原則は「相手とゴールを結んだ線上」です。それ自体はサッカーをしていれば誰しもが知っていること。しかし外(横)にボールを置かれたときにも、その立ち位置を意識できているでしょうか。

正面から相手に攻められているときは理解しやすいこの原則も、外(横)にボールを置かれると状況が大きく変わります。相手とボールを同時に見られるようにするには、細かく立ち位置と体の向きを調整しなければなりません。しかし天皇杯のいくつかのシーンで見られたのは、外から攻められた途端、立ち位置を意識しなくなり、単なるボールウォッチャーになってしまっている選手たちの姿でした。

プロになればより一層、「外からのボールに対する攻防」の精度が勝敗を分けることになる(撮影・山本倫子)

これにわざわざ触れたのには理由があります。プロサッカーにおいて「レベルの差」として如実になっていくのが「外からのボールに対する攻防」だからです。

プロになると選手個々の差はどんどん小さくなります。ゴールを奪うのはより困難になり、単純なレベル差で押し切れる相手は存在しなくなります。その中で徐々に違いとして大きくなるのが「外からのボールに対する攻防」の精度なのです。

外からのボールへの対処は日本の伸びしろ

今回は大学とプロの差として触れましたが、私は日本と世界の差もここにあると思っています。セットプレーを含む外からのボールに対する攻防の精度は、日本の伸びしろだと思っています。

そんなことを考えていたら、先日、慶應義塾体育会ソッカー部から「セットプレーの改善にアドバイスを」という依頼があり、行ってきました。私は事前に送られてきたビデオを見て、改善してほしい部分は結局「外からのボール」であると思ったので、外からのボールに対する「クリアの原則」と「マークの原則」を1時間かけて徹底的に伝えてきました。

伝えながら思い出したんですよね。私も大学生のときにはここまで徹底できていなかったな、整理できていなかったな、と。鹿島でプレーするようになってから徹底し、外からのボールに対する練習をさせられました。「鹿島ではセンターバックが育つ」とはよく言われる言葉ですが、「外からのボール」はひとつのキーなのかもしれないなと思っています。

サッカー応援団長・岩政大樹コラム

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