岩政大樹が上武大サッカー部監督と准教授に就任、大学という舞台で目指すこと
1月1日付けで、上武大学のサッカー部監督ならびにビジネス情報学部スポーツ健康マネジメント学科准教授に就任しました。新生活のスタート。指導者としては再スタートですかね。この新たな挑戦を決断したのは、実はもう1年以上前になります。2019年の年末にはこの約束をしていました。今回は私事になりますが、なぜこの決断に至ったのか、なぜ大学だったのか、を正直に書いてみたいと思います。
“自分だからこそ”を考え、大学に行き着いた
上武大学との出会いは以前に触れたことがあったと思います。2年近く前に「UNIVAS」発足の記念式がありました。そこで私は15分間のスピーチを任されました。その場にたくさんの大学の方々に混じって、上武大学の学長や理事長がいらっしゃいました。そこでご挨拶をさせていただいたのが始まりです。
指導者としてのお話をいただいたのは、その半年後くらいだったと思います。サッカー部の植木繁晴総監督より、打診をしていただきました。最初は「2020年シーズンから」というお話でした。しかし私は、2020年は「S級を取る」という目標を持っていました。それに、その頃は大学で指導をするイメージは正直あまり持っていませんでした。「ではどのカテゴリを指導するつもりだったのか」と言われると、全く思い出せないのですが、とにかく私はまず「引退から2年でS級を取る」という目標を達成し、そこからはオファー次第でチャレンジを選んでいこうと思っていたのです。
そこで、私は試しに「2021年ならいかがですか?」をうかがってみました。すると、即答で1年待ってくれる、と。そこで風向きが変わりました。選手の時もそうでしたが、指導者となってもやはり必要とされるところで仕事がしたい。そして、上武大学からお話をいただいてから、“大学で指導する自分”を想像してシミュレーションしていくうちに、徐々に私は「面白いかもしれない」と思うようになっていきました。
というのも、S級を取ってから、どこで本格的に指導者のキャリアを始めようかと考えた時に、なかなか自分の中でしっくりきたものがありませんでした。自分にはまだ指導者としての経験も自信もない。しかし、“自分だからこそ”のキャリアを見つけたい。つくっていきたい。そのために、私が“まずやりたいこと”と“やらなければいけないこと”を考えてみた時に、日本では大学こそがそれを1番できるところではないか、と考えたのです。
監督としての責任を全うし、学生と向き合う
私が“やりたいこと”“やらなければならないこと”と考えたのは、まず「監督という仕事を経験すること」でした。監督とコーチは似て非なるもの。私はずっとサッカーの現場を見てきて、そう思ってきました。「まるで違う」と言っても差し支えないほどだと思っています。
私が経験したかったのは決断することであり、大きな責任の中で仕事をすることであり、サッカーを深掘りすることであり、勝つことに対して真剣に向き合うことであり、チーム全体をマネジメントすることであり、考えてきた戦術を落とし込むことであり。こうした一つひとつは監督でなければ、なかなか経験できないものだと思います。なので、私はまず、監督としての仕事をしたかったのです。
加えて、大学生という年代の魅力と意義をよく知っていることも大きかったでしょう。やはり大学という場所は、人としての深さも幅も一気に掘っていけるところですからね。それを私は身をもって体験したので、今度は指導者として学生たちと向き合うことで、指導者としての経験値が間違いなく跳ね上がると思いました。
また、大学教員としての仕事もセットであったことも決断の要因となりました。私はこれまで本を3冊書き上げてきました。それが実績として評価されてのお話です。私はいつも人生の道を選ぶときには、“なんとなく導かれているように感じる”方向を選ぶようにしています。今回はそれを大学に感じたんです。おそらく「本を自分で書く」ということをプロ選手キャリアの最後に思いついてやり切ったことが、“ここにつながった”と感じたのでしょうね。授業を通して、サッカー部だけではない学生たちとも向き合っていくことは、きっと教育者としての幅を私にもたらせてくれると思います。
「BE PROACTIVE!」を胸に
さて、そんなこんなで意気揚々と迎えた新年でしたが、スタートはコロナの影響もあり、静かで慎重な立ち上げです。しかし、1年間アドバイザーとして内部のことも少しですが分かっていることで、何をすべきかはイメージができた状態で始められています。
まず私が着手するのは、学生たちが学生のうちに「自分で考えて、まずやってみる」をできる場を用意してあげること。そして、ピッチ内でもその空気感をつくっていくことです。合い言葉は「BE PROACTIVE!」。選手たちの日常を変え、雰囲気をつくっていくことから始めます。学生たちと一緒に。