陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

M高史、東日本実業団選手権に出場 13年ぶりに1500mに挑戦!

東日本実業団選手権シニア1500mに出場しました!(撮影・朝日新聞社)

東日本実業団陸上競技選手権のシニア男子1500mに出場してきました。1500mに出場するのは13年ぶりです。今回の「M高史陸上まるかじり」では私、M高史の東日本実業団選手権出場に向けた経緯から大会出場レポまでたっぷりお話いたします!

大学卒業後、市民ランナーとして走り続ける

まず、今回の出場に向けた経緯をお話する前に、僕の大学卒業後の競技歴についてお話いたします。13年前はまだ福祉のお仕事をしながら市民ランナーとして走っていました。学生時代はマネージャーだったので競技のブランクはありましたが、社会人になってから1500mからフルマラソンまで学生時代の記録をすべて更新することもできました。

10年前に芸人となり、特に川内優輝選手のものまねをするようになってからは、おかげさまでマラソン大会のゲストランナー、MCを務めたりもしていました。ゲストやMCとなると、自分の競技力や走力といったベクトルよりも、参加されるランナーさんへのおもてなしに全力を注ぐようになっていきました。

ゲストランナー、MCのほか、時にはブラインドランナーさんの伴走をすることもありました

いつしか自己記録を更新したいという気持ちよりも、日本全国のマラソン大会を盛り上げたい、ランナーさんのお役に立ちたいという気持ちに変化していきました。

部活訪問や取材のために走力アップ

2018年頃より中学校や高校の陸上部への部活訪問、そして4years.でもおなじみ大学陸上部・駅伝部へうかがって練習に参加しチームの魅力を体を張って取材する「M高史の走ってみました」で練習を重ねていくうちに、走力も戻ってきました(笑)。やはり取材するのにみっともない走りでは申し訳ないですからね!

写真は2019年夏、専修大学さんの練習に参加した時のものです(撮影・藤井みさ)

昨年4月には「M高史のラジオ」(stand.fm)がスタート。陸上・ランニング関係の方を中心としたゲストの方に出演していただき毎日配信しています。素晴らしいゲストの皆さんから毎日、現状打破なお話を伺っているうちに、自分も現状打破しなきゃと強く感じました!

そこで、取材で学生アスリートの皆さんの練習に参加するというモチベーションに加えて、放送1000回までにもう1度自己記録を更新すると決意しました! 現在、400回をすぎて、1000回まで残り600回弱ですが、挑戦していきます!

さらに今年は節目となる芸歴10年目。かねてから35歳以上になったら出場してみたかった東日本実業団陸上競技選手権のシニア男子1500mに挑戦しました。

東日本実業団選手権に出場!

東日本実業団選手権は文字通り東日本の実業団登録をしているチームや選手が出場する選手権大会です。高校や大学陸上界で活躍したアスリートたちが社会人になってからも活躍するのも楽しみの1つですね。

この大会には100m、1500m、砲丸投げに一般種目のほかにシニア種目があります。男子は35歳以上、女子は30歳以上が出場できます。

僕の所属している事務所「クロスブレイス」にランニング×コメディ×YouTuberたむじょーさんも所属し、クロスブレイスも実業団登録をすることに。こういった機会をいただいた事務所やたむじょーさんにも感謝です(実は、シニア種目は実業団登録をしていなくても出ることができると後から知ったのですが。笑)。

ランニング×コメディ×YouTuberとして大人気・たむじょーさんも1500mに出場!(撮影・クロスブレイス)

というわけで、クロスブレイスからはYouTuberと芸人が出場(笑)。肩書きだけ見るとエンタメっぽい感じがしますが、もちろん2人とも真剣に出場しました!

YouTuberが組トップの快挙!

東日本実業団選手権の会場は埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場です。

まずは初日となった5月15日、たむじょーさん(選手登録は本名の田村丈哉さん)が1500m2組タイムレースのうち1組に登場。持ちタイムが中学時代の記録しかなかったため、1組になりましたが、中・長距離界で扇風を巻き起こしているTWOLAPSの練習に参加して武者修行を積むなど、かなり質の高い練習をしてきました。直前に故障があり、一時は出場も危ぶまれる中、抜群の調整力と集中力を発揮しスタートラインに立ちました。

レース序盤から好位置につけるたむじょーさん(ゼッケン409)(写真提供:ELDORESO)

序盤から好位置につけ、800m以降にロングスパートで独走体制に。時計もつけておらず、たまたまこの組だけフィニッシュタイマーが作動していなかったため、何秒で走っていたのか把握していなかったそうです(笑)。場内アナウンスで400mごとの放送はありましたが、集中していて聞こえなかったとか。

後半独走ながら3分50秒00の好記録で組トップでフィニッシュするたむじょーさん(写真提供:ELDORESO)

組トップの3分50秒00でフィニッシュ。目標を3分50秒切りに掲げていた中、神業のようなピッタリのタイムにたむじょーさんも少し戸惑ったようでしたが、ホクレンディスタンスの標準記録3分50秒00をギリギリ突破。さらに全日本実業団選手権の標準記録3分53秒60も突破し、新たな可能性に挑まれることに。ますますの活躍に注目ですね!

全日本実業団選手権やホクレンディスタンスの標準記録も突破。さらなる活躍に期待ですね!(写真提供:ELDORESO)

13年ぶりに1500mのスタート地点へ

そして迎えた2日目、5月16日のシニア1500mです!

この大会に向けてコーチとしてアスリート芸人の先輩・ポップライン萩原さんにご指導、アドバイスをいただきました。萩原さんは神奈川大学OBで高校時代は1500m東北高校新人2位、4分01秒の実績もあり、芸人らしくユーモアを交えながらも的確なアドバイスをいただきましたし、初出場でワクワクとドキドキで緊張感もある中、リラックスできて心強かったです!

コーチをしていただいたポップライン萩原さん。設楽選手ものまねでもおなじみですが、変装前です(笑)

感染症対策も徹底されていて、無観客開催。選手、監督・コーチ以外は入場できません。試合2週間前からの体調をアプリ(テレサ)を使って主催者に報告。紙ではなくスマホでできるのでとても便利ですね。当日も入り口で検温してから入場しました。

早めに現地入りして、知り合いの実業団関係者、監督・コーチの皆さまにご挨拶。僕が出場することを皆さんご存知で、より一層緊張感が高まります(笑)。

サブトラックにてウォーミングアップ、招集所で腰ゼッケンをつけたり、久しぶりに味わうこの試合の感じがたまりません!

ここ最近でも、オトナのタイムトライアル、M×Kディスタンス、トワイライトチャレンジ、GENJO打破陸上競技大会のような市民大会や競技会で1500mのペースメーカーをしたことは何度もありましたが、自分が本気で挑むレースにはワクワクした緊張感と高揚感がありました。この感じを味わうことで、また選手の取材の際に、少しでも選手の気持ちを体感できたらいいなとも思いました。

僕はレース前に「4分30秒以内で8位以内」という目標を掲げていました。

事前に過去の記録などもチェックしていました。特にシニアの部は出場者によって8位以内の記録が大きく変わってきます。そのため、事前にエントリーリストで1人1人のお名前をインターネットやSNSで検索し、過去の実績と最近の記録などを確認。学生時代にマネージャーをしていたので選手の記録を調べるのは得意ですし、血が騒ぎます(笑)。それにより「4分30秒を切らないと8番には入れない」と頭にデータを入れておきました。

18名エントリーのうち、1人の欠場者もなく全員出場。他の種目ではエントリーしたものの、故障や事情によりDNSという選手もいて、当初予定していた組よりも少なくなることもしばしばみられたのですが、シニア1500mは全員出場! このレースにかけている気合と熱意が伝わってきました(笑)。

気になるレースの結果は!

シニア男子は35歳以上ということで、35歳ちょうどの方から40歳代、50歳代の方も出場されていました。

レースは400mあたり67秒前後で進み、先頭集団はラストさらにペースアップ。最後のスプリント勝負で、池田直樹さん(航空自衛隊熊谷)が抜け出し4分11秒87で優勝。2位には新井一匡さん(埼玉西部消防)が4分12秒46。新井さんは僕より1学年先輩、国士舘大学で2度箱根駅伝に出場、実業団時代は日本選手権3000mSCで8位に入られたこともあります。新井さんとチームメイトの萩原重寿さん(埼玉西部消防)が4分16秒23で3位に。4位はニューイヤー駅伝出場経験もある篠﨑洸太さん(警視庁)で4分19秒02でした。

M高史はというと、目標の8位以内を見据えながら、10番手、9番手をいったりきたりしながら1000mを2分58秒で通過。

実際に自分で走ってみて、改めて1500mのキツさと楽しさを体感しました(撮影・朝日新聞社)

このペースで箱根駅伝を走ってしまう学生の皆さんに改めて尊敬の念を抱きつつ、ラストは離されてしまい、4分33秒23で10位と悔しい結果となりました。自己ベストは13年前の4分18秒69だったので、今回は及びませんでした。

ちなみに、8位の方は4分28秒75でした。スタート前にほぼイメージしていた通りだったのに、自分の実力が足りませんでした(笑)。

タイムも順位も目標には届きませんでしたが、今ある力は出しきれました(撮影・朝日新聞社)

一緒に走った皆さんの中で特に強く印象に残ったのは、57歳の窪田俊郎さん。窪田さんは高校時代に5000mでインターハイ2位の実績をお持ちで、1500mの自己ベストは35年前に出された3分49秒!実業団時代は全日本実業団駅伝でもご活躍されました。今回は57歳にして4分44秒をマーク。1000mを3分07秒で通過するなど、年齢を感じさせないスピードを発揮されました。

学生時代は駒大のスポーツ新聞である「駒スポ」に所属していた金野人史さんとも久しぶりの再会。金野さんは駒スポ出身で取材する側だったのですが、フルマラソンの自己ベストはなんと2時間21分! この日は午前中の一般5000mにも出場。午後からシニア1500mに出場し、4分25秒49で6位に入るというタフさを披露されました。

何歳になっても青春! 現状打破!

シニアレースで感じたのは、1500m特有のトラックの格闘技を感じなかったことです。押し合ったり、肘がぶつかったりということはなく、お互いにいい感じでポジションを確保(笑)。平和な雰囲気がありました。足が当たっても「あ、すみません」といった感じで紳士な1500mとなりました(笑)。

良いポジションを確保しようとガチガチに競走する1500mも迫力、駆け引きもあって、それも魅力だと思いますが、シニア種目でお互いを尊重し「一緒に頑張っていこう」という雰囲気がにじみ出るレースもなんだかいいなと感じました。もちろん順位や記録に関して競い合ってはいますが、結果のみではなく一緒に挑戦する同志のような感覚がありました。あくまでも個人の感想ですが(笑)。

実業団選手の活躍はもちろん、シニア種目も盛り上がっていったら嬉しいです!(撮影・朝日新聞社)

レースを終えて感じたのは「青春」の二文字でした。一度競技を離れて再び復帰した方、ずっとコツコツ続けられてきた方、お仕事や家庭などさまざまな事情がある中で走り続けてきた方、皆さんそれぞれの置かれた環境で立場で、思い思いの現状打破をされてきたんだと思います。

走り終わってキツかったですが、また挑戦したいと心の底から感じました!(撮影・朝日新聞社)

大学で本気で競技をやってきて、「もう走りたくない」ってほど走られてきた方もいらっしゃると思います。それでも何かのきっかけで再び走り出した方がいったん距離を置いたことで、改めて陸上競技の魅力を再発見できるのかもしれません。「結果を出さなきゃいけない」というプレッシャーから解放され、走ることそのものを楽しむ。もちろん走っている時はきついながらも、シニアに出場された皆さんからは競技を楽しむ空気感が伝わってきました。

ぜひ、一度競技から離れた方も、久しぶりに1500m走ると気分も爽快ですよ! 体はしんどいですが、キツさも含めて楽しいと思います!

また、これは個人的な願いですが、今まさに4years.を大学生活を過ごされている方も、将来的に何らかの形で陸上やランニングに携わったり、どんなペースでもいいので走り続けてもらえたら嬉しいです。4years.=大学4年間でスポーツに打ち込んできて、競技スポーツからライフスタイルとしての生涯スポーツへ。そのための受け皿を準備したり、気軽に参加しやすい環境作りやPRなどにも携わっていきたいなと思います。

お互いに高め合える関係っていいですよね!選手同士のリスペクトが伝わってきました!(撮影・朝日新聞社)

早くも「来年のシニア1500mに出場したい」とSNSでもコメントやメッセージをいただいているので、タイムも参加人数もさらにハイレベルになることが予想されます(笑)。ちなみに男子のシニアは35歳以上ですが、女子のシニアは30歳以上ですので、女性の方もぜひ挑戦しませんか?

最後に、この状況下で開催してくださった主催者の皆様、実業団関係者の皆様、LIVE配信で応援していただいた皆様に感謝です! ありがとうございました!

ポップラインのランニング魂!で当日の様子が見られます!

M高史の陸上まるかじり

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