陸上・駅伝

連載:NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

上野監督流、独特の選手スカウト方法! NGT48西村菜那子×上野裕一郎対談(中)

いろいろな意味で型破りな上野監督のお話に、西村さんは興味津々!(撮影・藤井洋平)

「駅伝に詳しすぎるアイドル」NGT48の西村菜那子さんと、かつて中央大学やエスビー食品で活躍し、2018年12月に立教大学陸上競技部の男子駅伝監督に就任した上野裕一郎監督。長野県出身の2人の対談が実現し、地元や駅伝の話題を大いに語りつつ、西村さんが陸上競技や大学生ランナーに関する様々な疑問をぶつけ、上野監督が自身の現役時代の話を交えながら答えてくれました。対談の中編は、選手の記録会出場の決め方や、スカウトについて突っ込んでお聞きしました。

今もトップレベルで走り続ける理由は? NGT48西村菜那子×上野裕一郎対談(上)

出場する記録会の選び方は?

西村:ところで記録会というのは、選手が自分でこれに出ると決めるんですか?
上野: 以前は本人に選ばせていましたが、てんでバラバラ過ぎて収拾がつかず、練習がまとまらなくなったので、今はこちらが指定して練習を組むようにしています。40数名の部員それぞれと、「この記録会に出よう」と話して決めます。強くなっていけば関東インカレや全日本大学駅伝の関東学連選考会、箱根予選会もあるので、そのための記録会や練習というように分けています。多分、ほとんどの大学がそういう流れだと思います。
西村:上野さんの学生時代はどうでしたか?
上野:僕は記録会が好きじゃなかったし、インカレなどの試合でもタイムを出せる自信があったので、あまり記録会に出ていません。監督と相談して、記録会に出るのは無駄打ちだから、5000m13分45秒とか、3000mを8分で走るとかは練習でやりますと。だから本番は、春はグランプリに何本か出て、5月半ばに関東インカレ。僕の時代は全日本インカレが 6月や7月にあって、その前後に日本選手権がありました。そこに出て、そのままヨーロッパに行って帰ってきたら夏合宿に少し参加して、駅伝シーズンに入っていきます。というわけで、12月の記録会だけタイムを出したい選手のペースメーカーをやるぐらいでした。

上野さんが大学の時は記録会にはあまり出なかったそう(撮影・藤井洋平)

西村:今は各大学の主力も記録会にどんどん出ていますよね。
上野:昔の記録会は今みたいにあんなにタイムが出なかったです。ある程度のタイムは出ますが、僕たちが目指しているタイムではないから、記録会はいいやと。だから選手権に勝つことや選手権で良いタイムを出すこと、駅伝での区間賞や区間新が目標で、チームで頑張ってやっていた印象です。
西村:今は記録会がめちゃくちゃ多いですよね。
上野:でも、逆にチームの主力じゃなくても陸上を楽しめるようにはなりましたね。自己ベストを更新して、「やった、うれしい」みたいな。喜びは増えました。私もうれしいですし、選手もうれしいはずで、そういうのはありがたいですね。
西村:記録会にもファンの方が来るようになりましたもんね。今はコロナで無観客にはなってしまいしたが。
上野:(11月24日の)MARCH対抗戦は有観客で行われたので、久しぶりにたくさんのお客さんの前で走れましたね。
西村:走っている側からすれば、見てくださる方がいるとテンションが上がりますか?
上野:そうですね。声を出せないので拍手だけですけど、観客の前を通る時は意識する子もいるんじゃないですかね。

MARCH対抗戦では160人限定で、グラウンドレベルで観戦できるチケットもありました(撮影・藤井みさ)

駅伝の時はカメラを利用する

西村:上野さんは現役の頃、テレビカメラとか意識されていましたか? 出雲駅伝の時、神野(大地、セルソース)さんと一緒にお仕事したんですけど、「箱根では5区で抜かす時にカメラがいるタイミングでやろうと考えてた。その方がヒーローになれると思っていた」と聞いて、すごいなと思いました。
上野:スチールのカメラは居場所がわからないからチェックできないけど、第1中継車のカメラは意識してました。カメラいる! あそこまで行くぞ! って。それに、ある程度近づくと、風よけになってくれるんです。それで楽ができる。カメラが別の所に行ったら、白バイの後ろにつく。そうすると風が少し弱まる。そういうことも考えながら走っていました。
西村:そんな使い方があるんですね。
上野:向かい風の時の中継車って意外とチートなんです。近くで撮ってくれると風がなくなるので、先頭を走る利点はそこにもあります。まあ、中継車が離れて撮影してる場合は意味がないですけど(笑)。
西村:前を走るチームの方が得するということですか?
上野:得すると思いますよ。カメラに映れる。風は来ない。褒(ほ)められる。うれしい。

何度も都道府県駅伝を走っている上野さん。05年、09年、17年には優勝のゴールテープを切った(写真は17年、撮影・朝日新聞社)

西村:別の取材で、記者が箱根駅伝の最下位を走ったことがあるという方でした。自分が走っているすぐ後ろに広報車がついて、「これが最後の選手になります。沿道のみなさん、ありがとうございました」とずっと放送しながら走っている。それをずっと聞いて走らないといけないのが辛(つら)く、悲しかったと言っていました。
上野:一番最後に車がついて来るのは知っていましたが、そんなこと言うんですね。でも、早く交通規制を解除しないといけないから仕方ない。
西村:上野さんが走るのは、いつも先頭の方ですもんね。
上野:いや、そんなこともないですよ。全日本や箱根ではごぼう抜きもしています。
西村:都道府県対抗駅伝のイメージから、ガンガン前で走っているというイメージです。
上野:あれはみんなが前の方で持って来てくれるから前にいられるだけです。ありがたいですよね。

「一緒に走ろう!」上野流スカウトとは

西村:都道府県と言えば、2019年の大会には今2年生の服部凱杏くん(かいしん、佐久長聖)も出場して、1区で区間3位と好走していましたね。そうそう、服部くんで思い出しましたが、スカウトってどう行っているんですか?
上野:僕みたいな新米指導者だと手広くやると回り切れないので、勧誘する高校はある程度絞っています。試合や記録会の結果を見て、目ぼしい選手がいたら、「〇〇君、気になっているんですが、練習を見にお邪魔していいですか?」と、先生にお声掛けする。もちろん、その時点で「学力的に立教は厳しいから」とか「他に希望があるから」とお断りされることもあります。「勉強の方も大丈夫、練習にも来てください」となれば、お邪魔して、走りを見ていいなと思えば、お声掛けさせてもらいます。

またぜひ長野県代表として上野さんに都道府県駅伝を走ってほしい!(撮影・藤井洋平)

西村:選手側はドキドキしますよね、「俺、ひょっとして声掛けられるのかな」って。ちなみに選手には何て言うんですか?
上野:「一緒に走ろう!」って。実際に練習で一緒に走るんですよ。走りながら「楽しいよね」とかいろいろ話す。シチュエーションを一緒にして、クールダウンの時などに他愛もない話をして、「君はどうなりたい?」と聞くと、けっこう選手が本音で話してくれることもあります。それで目指したい姿を聞いて、一緒に目指そう、と言ったりしますね。
西村:箱根駅伝を走りたいという選手には、どうお話されるんですか?
上野:今まで大学自体が箱根から遠ざかっていたので、箱根駅伝の話を出して勧誘できませんでした。でも、今はかなり近づいてきたので、箱根が目標という子にも、「うちのチームは(出場に)近づいてきているから、君が走って連れて行ってほしい」という言い方ができます。第2段階に入ってきました。
西村:何年生ぐらいから目をつけているんですか?
上野:速い子は1年生で目をつけて、何人かピックアップしています。でも、先方の先生には「声掛けはまだ待って」と言われることも多いです。チームによってはコーチやスカウト担当が高校を回っていますが、立教は現状ではスカウトが僕1人しかいないので、できる範囲でまわっている、という感じですね。

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選手が「いい4年間」と思えるように NGT48西村菜那子×上野裕一郎対談(下)

NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!

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