ラグビー

連載:4years.のつづき

リーグワン開幕、「世田谷から活力と感動を」 BR東京・武井日向新主将(下)

BR東京の西辻勤GM、武井日向主将、ピーター・ヒューワットHC、ラムまる(左から、撮影・斉藤健仁)

ラグビーの新リーグ「NTTリーグワン(LEAGUE ONE)」に挑むリコーブラックラムズ東京(BR東京)の武井日向(ひなた)新主将(24)。後編は、キャプテンとして新リーグで目指すものなど。BR東京は1月9日、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪との初戦に臨む。

【前編はこちら】負けた試合から学んだこと

トップリーグ8強その上へ

武井は実質ルーキイヤーの昨季、主力として活躍しトップリーグ(TL)のベスト8に貢献した。「試合に出ることを目標にしていて、同期と切磋琢磨(せっさたくま)しつつ、実際にトップレベルの試合に出られてすごく成長ができた1年だったかなと思います」としみじみと話した。

明大からフッカーに転向した武井。課題のセットプレーも向上している(撮影・斉藤健仁)

新しい環境、チームで信頼されるには日々の行動が一番ということで、仕事との両立をしながらも、ラグビーに対する取り組み、フィットネストレーニングなど何でも1番を目指して取り組んでいたという。

外国人選手も多く、大学とフィジカルの差は感じたが、自然とプレーしている間に慣れていった。また大学とは違って、組織ディフェンスなどをおろそかにすると、「少しでも隙を見せるとやられる、というのは大学時代よりも感じています」。TLプレーオフ準々決勝は、自チームに新型コロナウイルスの陽性者が出てしまい、試合ができずシーズンを終えた。その直後の、6月頃に正式に今季のキャプテンの打診があったという。武井本人も「ちょっと早いかなというのは感じましたし、めちゃくちゃ驚きました」と振り返る。

率先行動で示すキャプテン

最初は「キャプテンをやってもらうかも」と言われていたそうで、覚悟を決めていたこともあり、正式に要請があったときは即決して「やります!」と答えた。「コーチ陣は、言葉よりも、ブラックラムズが求めるラグビーや、やらなければいけない行動の部分で一番率先して動けることを重視していて、それが自分だったのかなと捉えています」

そんな武井はTLでの活躍が評価され、将来、日本代表になりうる人材であるNDS(ナショナル・ディベロップメント・スコッド)という位置づけで、2021年9月、初めて日本代表合宿に招集された。武井は「やっとスタートラインに立てて嬉(うれ)しかったですね。レベルが高い環境でしたし、一つひとつのスキル、やろうとしているラグビーに対して全員が理解していたし、こだわっていました。1回、1回の練習の強度は激しかったですが、(持ち味である)スキルやフィールドプレーは負けずにできたかなと感じました」と自信を深めた。

2021年秋の日本代表合宿にも参加した(日本ラグビー協会提供)

ただ負傷のため、合宿は途中離脱を余儀なくされて試合に出ることはかなわなかった。「もう一度、代表合宿に呼ばれて、日本代表の試合に出たいという思いがより強くなりました。個人としてどこが足りてないのか、どこを伸ばさなきゃいけないのかなど、自分なりに分析して個人の成長に、ものすごくつながっている」と話す。

アタックし続けるラグビーを

新リーグになり、リコーブラックラムズは「リコーブラックラムズ東京」というチーム名になり、ホストスタジアムの駒沢オリンピック公園陸上競技場と練習場がある世田谷区との地域密着を進めている。

大学時代から世田谷区(八幡山)在住の武井は「地域の方の応援もすごくありがたい」という一方で、「まだまだ多摩川の河川敷で練習していることを知らない人もいるので、地域に根ざしていって(90万人以上いる)世田谷区の方全員にブラックラムズのことを知ってもらって、スタジアムに応援に来てくれるというのが一番の理想ですね。ポテンシャルはすごくありますし、いい流れができている」と感じている。

チームとしてどんなラグビーをしたいかを聞くと「昨季までも泥臭いラグビーや最後まで諦めない試合は大事にしていたので、そういう部分にこだわりつつも、80分、隙のないチームを作って、フィジカルにアタックし続けるラグビーをしたい。手応えもありますし、一人ひとりが変わってきているので、本当に優勝を目指してやっていきたい」と腕を撫(ぶ)した。

BR東京は1月9日に大阪でRH大阪と開幕戦を迎える(C)JRLO

武井個人としは「大学時代よりはセットプレーでちょっとは成長したかなと思います。試合ではコンスタントに安定したパフォーマンスを出し続けていきたいし、キャプテンとしての行動の部分で示していきたい。それがチームにいい影響を与えると思います。そして、その先に、日本代表があると思っています」と意気込んだ。

ファンにどんなところに注目してほしいか聞くと「チームで1番、体を張るというのは自分の中で大事にしていますし、立場が変わってもそこは変わらない部分なので、そういうところを見て応援してほしい。また、それはブラッククラムズも大事にしている部分なので、活力とか感動をみんなに与えたいと思っています」と話した。

最近はサウナにはまっているという。國學院栃木高や明治大に親しみを持つ武井だが「ブラックラムズも好きです」と語気を強めた。「僕はずっとこのチームで、このチームを強くしたい。その気持ちは変わらないと思います」と真っ直ぐに前を向いた。社会人になってさらに成長を遂げている若きスキッパーがブラックラムズ東京の先頭に立って戦い続ける。

4years.のつづき

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