陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

駅伝シーズンが楽しみになる記録も続出! ホクレンDC網走・士別大会を実況リポート

士別大会10000mで筑波大学記録を樹立した金子佑太朗選手。お隣は大学の大先輩にあたるライブ配信解説の河野匡さん(撮影・M高史、以下すべて提供・日本陸上競技連盟)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は前回に続いてホクレン・ディスタンスチャレンジ(DC)2024のお話です。7月10日に行われた第2戦・網走大会、13日の第3戦・士別大会のライブ配信実況リポートです。大学生選手を中心に振り返ります。

網走では溜池一太選手、平林清澄選手が10000mで27分台

まずは第2戦・網走大会から振り返っていきます。

女子1500mでは園田学園女子大学の渡辺愛選手(4年、大阪)が4分19秒16でトップ。自己ベストを6秒ほど更新する走りでした。今年の日本選手権800mで3位と表彰台に上っている渡辺選手が1500mでも記録を伸ばしてきました。

男子5000mCでは大学生がワンツーフィニッシュ。慶應義塾大学の成沢翔英選手(2年、山梨学院)が13分55秒81で自己ベストを更新。続いて流通経済大学の長谷川瑠選手(4年、波崎)が13分57秒39で2位に入りました。

男子5000mCでは流通経済大学の長谷川選手(前から4番目)も13分台に!

男子5000mAでは駒澤大学の篠原倖太朗選手(4年、富里)が外国人選手の集団へ積極的についていきました。途中で集団から離れ、後ろの集団に追いつかれて一時は逆転を許しましたが、ラストで再び抜き返し、日本人トップとなる6位、13分35秒33でフィニッシュしました。

気温が低く、半袖では肌寒いくらいのコンディションで行われていた網走大会でしたが、徐々に雲行きが怪しくなり、雨が降り出しました。傘が不要なくらいでしたら、選手の皆さんも走りやすいと思いますが、途中で雨脚が強まっていきました。

そんな中でも集中力を切らさず、男子10000mBで好記録を出した学生選手が多くいます。大東文化大学の西川千青選手(4年、九州国際大付)が8位で28分19秒58、東京国際大学の木村海斗選手(4年、狭山経済)が9位で28分21秒24、大東文化大の小田恭平選手(4年、水戸葵陵)が10位で28分21秒59。いずれも自己記録を更新しました。

最終組となった男子10000mAでは、創価大学のスティーブン・ムチーニ選手(2年、ミクユニ)が終盤に抜け出し、27分44秒92でトップ。中央大学の溜池一太選手(3年、洛南)は一度離れてから粘りに粘って、ラストはペースアップ。中大記録を更新する27分52秒38で4位。國學院大學・平林清澄選手(4年、美方)は終始集団の中で冷静にレースを進め、セカンドベストとなる27分58秒19で5位となりました。國學院大からは青木瑠郁選手(3年、健大高崎)28分21秒74、上原琉翔選手(3年、北山)が28分23秒77といずれも自己ベストには届きませんでしたが、夏合宿に向けてチームの好調さが伝わってきました。

網走大会10000mレースの時間帯には雨も降ってきました

パリオリンピック代表も出場した士別大会

続いて第3戦の士別大会です。女子800mでは園田学園女子大の渡辺選手が2分04秒95で1位。網走大会1500mに続いて2戦連続トップとなりました。

女子800mで1位の園田学園女子大・渡辺選手。網走に続いて好走を見せました

女子3000mBでは日本体育大学の尾方唯莉選手(4年、東海大熊本星翔)が9分13秒58の自己ベストでトップに。名城大学の力丸楓選手(2年、仙台一)も9分24秒98で自己ベストをマークしました。力丸選手は昨年の全日本大学女子駅伝の優勝メンバー。途中でレースを引っ張るなど、駅伝に向けても楽しみな走りを見せました。

女子3000mBで先頭を引っ張る名城大学の力丸選手。日体大の尾方選手(前から4番目)が組トップに

授業やテストなどの関係で、ホクレンDCには士別大会からの参戦となった名城大学。女子3000mAでは山田未唯選手(2年、宇都宮文星女子)が9分14秒09、瀬木彩花選手(2年、美濃加茂)が9分15秒33でともに自己ベストを更新。今年も学内で駅伝メンバーに入るところから熾烈(しれつ)な争いになりそうです。

その女子3000mAにはパリオリンピック代表に選出された樺沢和佳奈選手(三井住友海上)と後藤夢選手(ユニクロ)が出場。樺沢選手が8分53秒99の自己ベストで3位。後藤選手が8分58秒30のシーズンベストで4位に。日本選手権を終え、パリオリンピックに向けて走り出しています。

女子3000mAには樺沢選手(先頭)と後藤選手(前から3番目)も出場

男子3000mでは中野翔太選手(Honda)がDCシリーズ記録を11年ぶりに更新する7分46秒37、日本歴代6位タイの好記録でトップになりました。ペースメーカーの後ろにピタリとつき、日本選手権男子1500mの1位から4位までがそろう豪華メンバーの中、スピードに磨きがかかった中野選手の今後にも注目ですね。

中野選手は今春に中央大学を卒業後、Hondaに入社しました。前述した網走大会では溜池選手が中大記録を更新し、卒業生も現役生も勢いがあります。また、女子でも中大勢が活躍を見せました。

女子5000mAでは中央大学の浜野光選手(3年、本庄第一)が自身初の15分台となる15分57秒32で8位に。女子5000mBでは木下紗耶選手(3年、昌平)が16分11秒07でトップを取り、駅伝に向けて楽しみになってきました。

女子5000mBで自己ベストをマークし、1位となった中央大の木下選手

10000mで創価大学の選手たちが自己新連発!

創価大学の活躍が目立ったのが10000mでした。まずは小池莉希選手(2年、佐久長聖)が2000m過ぎから果敢にペースメーカーの前に出て、単独走。5秒前後の差で逃げ続けました。終盤で後続に追いつかれますが、そこからも粘って28分26秒33で4位に。小池選手の積極性は大会関係者の間で「トラックだから追いつかれたけど、駅伝だったらそのまま逃げ切っていたかも」と話題に上がるほど、強さが際立つレース展開でした。

また、石丸惇那選手(3年、出水中央)28分27秒87、小暮栄輝選手(4年、樹徳)28分32秒28、吉田凌選手(4年、学法石川)28分36秒30 と小池選手も含めて4選手が自己記録を更新。チームの強さを印象づけるレースとなりました。

同じ10000mでは、筑波大学の金子佑太朗選手(4年、横浜翠嵐)が28分29秒16で8位となり、大学記録を樹立。北見大会5000mでも大学記録を更新し、10000mでも記録更新を狙っていたという金子選手。「箱根予選会では日本人トップを狙っていきたいです」と力強くお話しされました。ライブ配信の解説・河野匡さんは筑波大OB。レース後、金子選手を笑顔でねぎらっていらっしゃいました。

その金子選手を上回る走りを見せたのが、京都産業大学の小嶋郁依斗選手(4年、滋賀学園)。28分28秒40で7位となり、関西学生記録に迫る走りで北見大会の5000mに続いて自己ベスト更新。ちなみにこの日の5000mAでは京都産業大学の中村光稀選手(4年、和歌山北)も北見大会5000mに続いて13分51秒06と連続で自己ベストを更新。関西から熱い風を吹かせます。

ホクレン・ディスタンスチャレンジ実行委員の皆様と!

というわけで網走大会、士別大会の実況リポートでした。第4戦・深川大会、最終第5戦・千歳大会も応援よろしくお願いします!

M高史の陸上まるかじり

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