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連載:ラクロス応援団長・山田幸代コラム

ラクロスに欠かせないチーム内の共通認識 DFのダブルチームのつくり方

日本のレベルを上げるためにも、細かな共通認識を設け、理解し合う必要がある(撮影・山本倫子)

みなさんこんにちは、ラクロスプレイヤーの山田幸代です。

これまでの回では、「AT(アタッカー)のアンダープレッシャーでの技術」と「DFが考えるべきオフボールの際のバトル」という話をしましたね。個人技の種類を増やすためにも、今度は「DFのダブルチームの組み方とボールの奪いどころ」も考えてみましょう。この話を通じて、私はチーム内で細かな共通認識を設ける大切さを伝えられればと思っています。

世界と日本のラクロスの差は、プレッシャーを受けたときのプレーにあり

ダブルチームで一番重要なのが孤立させないこと

ダブルチームとは、一人のオフェンスに対してDFが2枚入ってプレッシャーをかけることです。そもそもみなさんはダブルチームにどんなイメージをもっていますか? 「強いプレッシャーをかける」「ボールを奪う」「罠を仕掛ける」などでしょうか? そうですね、どれも正解だと思います。でもそのダブルチームのつき方やタイミングなど、明確にチームの中で共通認識化できていますか?

例えば私がオーストラリアチームでプレーしていたときは、積極的にDFがイニシアティブをとって、ダブルでオフェンスにつきにいくシーンや場所をチーム全体で共有していました。そしてタイミングやダブルチームの中の細かな約束事などを、チーム全体で共通して認識していました。

具体的には、1対1の場面で自分たちの罠を仕掛けた場所にオフェンスを誘導し、ダブルチームをつくっていました。一人目のDFがオフェンスを決めた場所に誘い込み、二人目のDFはそのオフェンスの視野外からダブルに入ります。さらにどちらの選手がボールを保持したオフェンスのスティックを狙うかというところまで、細かく決めていました。

このプレーで一番重要なのが、ダブルチームが孤立しないことです。ダブルチームは二人のDFだけで成り立つプレーではありません。ボールを保持しているオフェンスの隣は必ず閉める。逆サイドはそのほかのDFがローテーションしてしっかり守る。そうすることで、DF全体で一つのボールを狙いにいくことができていました。

強いチームはDFの戦略からプレーが始まる

みなさんのチームしっかりと定めた共通認識はありますか? チーム内で決めた共通の目標があれば、一人ひとりがその目標を達成するため動けます。同じように、一つのプレーに対しても同じ共通認識で当たれれば、やりたいことがもっとできるようになります。

今回はとても細かなプレーシーンのお話をしました。ただ私自身、日本のレベルを上げるために必要だなと感じるのは、DFが戦略をもって試合の主導権を握れるかどうか、そしていかに早くオフェンスに展開できるか、ということです。

前回、海外ではDFがイニシアティブをとってプレーをし、オフェンスはDFからプレッシャーを受けながらどれだけ攻められるか、ということが大切になるとお話ししました。同じように日本でもそんな守りができるようになれば、必ずオフェンスのレベルも上がります。

日本のレベルを上げるためにも、細かな共通認識を設け、理解し合う必要があります。さらに言うと選手やチームだけでなく、審判のレベルも上がらなければ、その国のレベルを上げることは難しいでしょう。フィールドの中のすべての人たちが互いに成長し合えるように、これからも日本はコミュニケーションをとっていくべきだとも思います。

山田さん(中央)はオーストラリアでプレーしているとき、DFとしてイニシアティブをとってきた(写真は本人提供)

今回はプレーを通して共通認識の大事さなどをお伝えできたらと思い、書かせていただきました。全日本大学選手権もしくは来年のシーズンに向けてと、チームの現状はさまざまだと思います。シーズンも終盤、みなさんの活躍を期待しております!

すでに新チームとして動き始めているチームも多いと思うので、次回は目標の立て方、見極め方をテーマにしていきたいと思います。いまの自分に何ができるかをしっかり考えて、目標を立てて行動できれば、立ち止まる時間が少なくて済むと思います。ぜひチームの目標と自分個人の目標をしっかり立てて、チャレンジするようにしてください。

ここで一つ、お知らせです。11月16日には「WORLDCROSSE2019」が千葉の浦安陸上競技場で開催されます。アメリカの最高峰のプロリーグからオールスターを招致し、日本のトップレベルの選手たちとの夢のエキシビジョンマッチを実施します。みなさんが成長するためにも、会場で素晴らしいプレーの数々をぜひご覧ください!

私がオーストラリアで教えてもらった「仲間のモチベーションの上げ方」

ラクロス応援団長・山田幸代コラム

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