陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

城西大で駅伝出場の佐光菜々子さん 管理栄養士として母校の食をサポート!

城西大学で杜の都、富士山女子駅伝に出場した佐光菜々子さん。卒業後は母校で管理栄養士としてチームの食を支えています。(提供記載写真以外すべて本人提供)

今回の「M高史の駅伝まるかじり」は城西大学女子駅伝部の管理栄養士・佐光(さこう)菜々子さんにお話を伺いました。佐光さんご自身も城西大学女子駅伝部の卒業生。学生時代は杜の都駅伝(全日本大学女子駅伝)、富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)にも出場。管理栄養士の資格を取得し、母校・城西大学女子駅伝部を食でサポートしています。

食べること、体を動かすことが大好き!

愛知県出身の佐光さん。「小さい頃から体を動かすのが大好きで、木登り、鉄棒、縄跳びなど、とにかく動きまわっていました。そして、本当に食べることが好きでした。子どもの頃の写真を見返すと、とりあえず何か食べてるんです(笑)」。とても活発で食欲旺盛な子どもだったそうです。

「小学校のマラソン大会でいい結果を出したくて、父と練習していました」という小学校時代は、市町村駅伝では姉弟で走ったこともあったそうです。ちなみに弟さんもスポーツが大好きで現在は大学で野球を続けています。

中学2年生で出場した新春春日井マラソン。佐光さんはゼッケン8011番

中学校時代は、陸上部がなくて水泳部に入部。冬は駅伝、マラソン大会に出ていました。また、地域の陸上クラブにも所属していました。

中学3年生で出場した愛知駅伝

千種高校で東海高校駅伝に出場

県内の公立高校の中でも陸上が強い千種高校へ入学。最初は練習についていくのも大変だったそうですが、先生の熱心かつ丁寧なご指導で、記録も伸ばしていきました。

2年生の秋には3000mで9分43秒をマークし、県高校駅伝でもエース区間である1区を任されました。「区間賞は豊川高校の鷲見梓沙さん(現・ユニバーサルエンターテインメントアスリートクラブ)でした。物凄い差がありましたが、まさか2番でタスキを渡せると思っていなかったので、高校時代で一番印象に残るレースになりました」。都大路出場を目標にしていましたが、それは叶いませんでした。

高校2年生の時に3000m9分43秒の自己新をマーク。写真中央が佐光さん

それでもチームとしては東海高校駅伝にも出場。「切磋琢磨できる仲間に恵まれ、楽しい高校生活でした」と振り返りました。

1区で区間2位と好走した愛知県高校駅伝

陸上と栄養の勉強のため城西大学へ

「管理栄養士になりたい」という目標と、「競技も続けたい」という2つの思いが叶うということで城西大学へ入学。城西大学は過去に全日本大学女子駅伝で2度の優勝を誇る、女子大学駅伝界の強豪です。

佐光さんが入学したのは薬学部医療栄養学科。「授業数も多く、必修科目も大変でした。みんなが『お疲れ様でした!』と練習を終えた後に、1人で練習を開始することも多かったです。変則的な時間にポイント練習を見てもらうこともあり、監督・コーチやマネージャーには、感謝しかないです」。限られた時間や環境での練習を乗り越えて、杜の都駅伝、富士山女子駅伝にも1年生から出場することができました。

「高校時代は全国大会に出場できませんでしたが、大学で全国の舞台を走れるということが、まず嬉しくて喜びでした。ただ、そこで満足してしまっていたので、結果としては恥ずかしいものでした」。出るだけで満足だったという1年目でしたが、2年生のときは杜の都駅伝では前年と同じ4区を走り、チームの8位入賞とシード権獲得に貢献しました。

当時、指導していたのは鈴木尚人監督(現・三井住友海上女子陸上競技部監督)。「自主性を大切にされていて、学部のことも気にしていただきました。1人ひとりに声をかけてくれましたし、時々、朝練で監督と走りに行くこともあったのも懐かしい思い出です(笑)」

赤羽周平監督、有紀子コーチが就任

3年生になり、城西大学の卒業生である赤羽周平監督、赤羽有紀子コーチが就任。実業団での指導経験も豊富な赤羽周平監督、五輪・世界陸上日本代表など世界の舞台で戦ってきた赤羽有紀子コーチのご指導のもと、チームは過去に2度達成している学生日本一を再び目指して新たなスタートを切りました。

「誰かと比べるのではなく、きめ細かくその選手に合った指導です。本当に選手のことをよく考えてくださっているのだということが伝わってきます」と監督、コーチの魅力を話されました。

4年生になり、高校2年生のときに出した3000mの自己ベストも5年ぶりに更新。管理栄養士の資格取得に必要な実習もありました。地元・愛知県に戻って病院実習。まとまった練習時間がとれない中、「親に病院まで車で迎えに来てもらい荷物を預け、私は走って帰宅していました。本当にありがたかったです」。と親御さんの協力もあり、時間を有効活用。週末は母校・千種高校の練習に参加するなど、実習期間中もなんとか練習量を確保されていたそうです。

4年生の関東大学女子駅伝では優勝。佐光さんも区間2位の走りで首位を守りました。(写真提供:城西大学女子駅伝部)

競技と学業の両立で心がけていたのは「メリハリ」でした。「試合前は勉強はちょっと置いておいて陸上に集中していましたね。逆にテスト前や故障をしている時は、勉強を頑張るようにしていました」。学部の先生方や友達の応援も励みになったそうです。

メンバーから外れた最後の杜の都

4年生の関東大学女子駅伝では優勝メンバーとなった佐光さんでしたが、杜の都駅伝ではあと一歩のところで走ることができませんでした。それまで1年生から杜の都駅伝、富士山女子駅伝とも全て走ってきた佐光さん。「正直、本当に悔しくて、富士山に向けてもう一段レベルアップしないとダメだなと思いました」

高校時代からサポートに回ったことがなかったという佐光さんでしたが、杜の都駅伝では最後までメンバー争いしていた後輩の付き添いに。「後輩が大学初駅伝だったので、少しでも走りやすいように、またチームがしっかりと結果を出せるように心がけました」とサポート役に徹しました。

「4年間、順風満帆に全て出場するよりも、出られなかった選手の気持ちも感じられたので、今となっては良い経験だったかなとも思いました。もちろん走りたかったですけどね(笑)」

杜の都駅伝で補欠となってから富士山女子駅伝のメンバーに入るまでは陸上に集中。そして富士山女子駅伝は4区を走り、チームも5位に入りました。「富士山が終わって引退してからは勉強に集中し、3月に行われる管理栄養士の国家試験に挑みました」。持ち前の集中力を発揮し、合格しました。

「全力でやりきれた悔いのない4年間でした。全てを注ぎ込んで突っ走れたと思います。4年間でメンタルも強くなれましたし、時間の使い方がうまくなった気がします。何事も全力で雑念を捨てて取り組むことができたら、ここまでやれるって感じました」。と4年間を熱く振り返られました。

管理栄養士として母校を支える

管理栄養士としてチームの食事に携わりたいと学生時代から思っていた佐光さん。監督・コーチにも相談すると、大学にもかけあってくださり、卒業後は食でチームをサポートすることになりました。

選手として4年間駆け抜け、昨年4月から管理栄養士としてチームをサポートすることに

佐光さんも学生時代に過ごした女子駅伝部の寮に引き続き住みこみ、選手の皆さんと寝食を共にしています。

「上級生は一緒に走っていた選手たちですし、近い存在としてやれたらと思います。食のサポートはもちろんですが、監督・コーチとは違う立場からメンタルの支えになれたらとも思います」。実際に競技者として走ってきたので選手の気持ちもわかるのが佐光さんの強み。「この練習はここがきついけど頑張ってね!などと共感、共有できます」。競技以外の他愛もないお話も多いそうですが、そういった時間も大切にしています。

今年度はコロナ禍で、試合の中止や延期などにより、選手のモチベーションも保ちにくい中でしたが、「食事で少しでも楽しんでもらいたいという気持ちで、メニューを工夫し、美味しそうとまず感じてもらえるように、見た目や彩りなど盛り付けにもこだわっています」。また献立表に載せる料理名もこだわっています。

エッグベネティクト風パンケーキ、ブロッコリーの粒マスタード和え、ミネストローネ!彩も鮮やかで本当に美味しそうですね!

「栄養のバランスはもちろん、美味しくてわくわくする食事を提供すること」。という佐光さんの役割ですが、1日3食の献立作り、調理、買い出しのほか、部員に渡す資料作り等なかなかの体力勝負です。

「現場にいて感じるのは、栄養学はあくまでも平均的で一般論であり、教科書通りにいかないことも多く、今その選手に何が必要なのかが大切です」。佐光さん自身の選手時代の感覚も大事にしているそうです。

寮では選手1人ひとりとのコミュニケーションを大切にしています。「食べることは楽しいことだと思ってほしいのです。もちろん競技をする上でウエイトコントロールもあるので、何でも食べていいよというわけではないのですが、食べていい状況で栄養価の高いものを美味しくしっかり食べてほしいです」

食事の準備をする佐光さん。体力勝負でもあります

お腹、体の満足だけじゃなく「心の栄養にもつながってほしい」という思いを込めて作っている佐光さん。部員の誕生日にはできるだけ当日にリクエストメニューを出すという心遣い!合宿や試合の時などスケジュールの都合で難しい場合もあるようですが、その場合はなるべく近い日が選ばれます。

「リクエストは、明太クリームパスタ、デミグラスオムライス、色々ありました。『これかー!』って(笑)、自分では思いつかなったメニューは新しい一歩になりますし、ありがたいです。選手に喜んでもらえたらいいなという思いでやっています」

選手の誕生日リクエストメニューということでクリームソースのオムライス!

「時々、ちょっと味が薄かったとか思い通りにいかなかったこともあるんです。それでもみんなの『美味しかったです!』の声が本当に嬉しいです!」

スタッフとして、食のスペシャリストとして

また、赤羽監督、有紀子コーチも豊富な経験、知識からアドバイスしてくれるそうです。「これまでの経験値が違います。教えていただいたことを自分のものにできるようにやっていきたいです」

スタッフとして迎えた初めての杜の都駅伝では7位、富士山女子駅伝6位という結果に「選手時代とは違う気持ちでしたね。送り出したら自分は何もできないもどかしさを感じました。あとは神頼みですね(笑)。サポートする側の大変さを感じ、初めて裏方としてスタッフ側になり、その仕事の多さに驚きました」。全然違う景色だったという就任1年目の駅伝でした。

監督、コーチとは選手の情報を常に共有し、例えば貧血気味の選手にはレバーや果物を追加するなど、「全員一律同じ量ではなく、なるべく1人ひとりに合わせて提供している」という徹底したサポートぶり。

食事の写真は毎日Instagramで投稿。美味しそうで栄養バランスの整ったメニューが並びます

木曜日の夕食と日曜日はお休みとはいえ、1日3食の食事を提供するためには体が資本。「もしも自分が体調を崩したら食事を提供できなくなってしまうので」と体調管理も徹底されています。

そんな中でもたまには息抜きも。最近ハマっている趣味はパン作りだそうです。趣味でも料理って本当に天職ですね!ちなみに「美味しく食べるために今でも週に2日くらいのペースで走っています(笑)」と時間を見つけてはランニングもされているそうです。

チームの目標達成に向けて食でサポート、そして公認スポーツ栄養士の資格取得に向けて、佐光さんの挑戦は続きます

今後の目標をうかがったところ「チームが日本一を目指しているのでそれに貢献すること」。そして個人では「公認スポーツ栄養士の資格取得」を目指しています。「公認スポーツ栄養士は取得するのに最短でも4〜5年かかるので、結構大変な部分もありますが頑張りたいです」。母校への愛情、そして食のスペシャリストとしての現状打破し続ける姿勢を感じます!

M高史の陸上まるかじり

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